「まだホテルがない」それでもポテンシャルを見極める重要性 オーナー様からご相談いただいた土地は中央区入船。オフィスビルとマンションが立ち並ぶ閑静な街で、ご相談いただいた当時は周辺には全くホテルはありませんでした。
しかし、タクシーで東京駅から10分程度、銀座駅からもわずか7分の場所であり、海外の旅行者からすれば、全く不便のない高アクセスであることに目をつけました。
また、インバウンド需要が高まる中で、民泊は増えていたものの、小規模のデザインが際立ったライフスタイルホテルが、ほとんど存在していなかったことも、私たちが独自企画としてホテルを作っても勝てると考えた要因でもあります。
東京駅からも10分程度
このような好アクセスでありながら、銀座や東京駅周辺と比べても格段に土地代も安いことから、収益性の高いホテルを実現できると考え、この土地に新築でホテルを建設しました。
当時は少なかったライフスタイルホテルのコンセプトで、独自のバリューを築く インバウンド需要を狙ったホテルでは、グループや家族向けの企画が重要です。そこでHotel Vintage Tokyoでは、10F建てのうち2-10Fを1フロア1室とし、それぞれ30㎡以上の家族やグループで使える客室としました。
銀座界隈に多いのは15-25㎡前後の客室のホテルのため、海外旅行者としては中心地より少し離れたとしても、広々と使える客室はとてもニーズがあります。かつ、入船は中心地と比べ土地代が安いことから、初期投資と顧客ニーズの両方のバランスが取れる場所でもありました。
オフィスビルに挟まれた、印象的な外観のHotel Vintage Tokyo また、企画の段階でどのような内装のホテルが人気か、もリサーチ。海外旅行者が利用するOTA(ホテル予約サイト)はBooking.comのシェアが高いのですが、このサイトではとにかく「写真を見てホテルを選ぶ」ニーズが非常に高いことがわかっていました。
OTAに写真が並んだ画面をイメージしながら、外国人観光客が心惹かれる内装へ 私たちとしても初の新築ホテルプロジェクトですが、単にコスパの良いホテルより、ホテル選びの段階からワクワクするような体験を提供できる一点モノのライフスタイルホテルの方が求められているはずと考え、「街との調和が生み出す贅沢」をコンセプトとしたHolel Vintageのブランドのホテルプランを提案しました。
1フロア1室で広めの部屋はグループ利用に最適 この戦略が当たり、オリンピック1年前の2019年には、1部屋売上が70万円/月、稼働率は95%を超える人気ホテルとなりました。オーナー様の手残りの坪あたり収益は、賃貸相場の3倍を超えるほどとなりました。
開業後もオペレーションを改善し続け、高収益を実現 開業後、オペレーションの改善やWebマーケティング施策、宿泊プランの試行錯誤を常に探究し続け、特に利益率の追求を継続して行いました。
9室のホテルですが、当初は複数人での清掃、接客対応の体制でしたが、コロナ禍もあったことで効率的なオペレーションをさらにアップデート。基本はフロントスタッフ1名+清掃スタッフ1名の合計1-2名のシフトラインで運営できるミニマムなオペレーションを確立しました。 私たちは、省人化や無人化やデジタル化イコール、収益の最大化とは考えません。ゲストに満足いただける高品質なサービス、コンシェルジュ機能を実現しつつ、生産性の高い現場体制の維持に注力しています。
自社開発のDXツールを活用し、フロント人員はミニマムに コロナ禍が明けた2023年は、過去最高売上である1部屋あたり110万円/月を突破し、非常に収益性の高いホテル運営を維持しております。
なお、今回の成功をきっかけに、神楽坂にも同様のVintageシリーズのホテルを開業し、今後、不動前、福岡でも高収益ホテルを共に展開していきます。