繁華街ではない好立地を見極める
今回のプロジェクトは、不動産会社のオーナー様からのご相談から始まりました。前のオーナーが運営していた民泊施設を買い取り、コロナが落ち着いたタイミングで新しい商品企画の宿として営業を再開しましょう、と提案しました。
この物件が位置する博多区住吉地区は、博多駅からタクシーで約7分、バスなどの公共交通機関でも約10分ほどの便利な場所にあります。宿泊施設としては、博多駅周辺か天神周辺か中洲周辺の3つのエリアが人気ですが、本件の住吉地区もインバウンドのゲストからアクセスの評価は高いと考えました。
福岡は韓国、台湾、中国など東アジアの観光客に人気のある都市で、コロナ禍を越えた後も、観光ニーズの増加が見込まれています。
博多駅からタクシーで10分以内。繁華街へも徒歩で10分程度
すでに一棟貸し宿だった場所を新たなコンセプトでバリューアップ
この物件は元々一棟貸しの宿として使用されており、リビングや寝室などはとても綺麗な状態でしが、他の宿と比べても特に際立つ魅力は見受けられませんでした。
そこで私たちは「コンセプト」を吹き込むことで、この物件を新しく生まれ変わらせることを考えました。
特に、2階にある「和室」を活かすため、ベッドが主流の宿泊施設の中で、あえてこの和室・布団敷きを利用し、友達や家族で「雑魚寝を楽しむ」という「令和時代の合宿」のコンセプトを考えました。
大人になって改めて体験する「合宿」誰しもが経験のある、若かりし頃の合宿の思い出。みんなでご飯を食べて、雑魚寝の和室で布団に入りながら夜遅くまで語りあう。そんな体験を提供することを新たに考えました。
あえて和室のまま残した寝室また、この企画の検討時期には、別プロジェクトであるサウナランド浅草がすでにオープンしており、サウナ付き客室の高い稼働率と高単価の実現が確認できていました。この成功例を踏まえ、合い宿すみよしにもサウナを新設し、サウナでリフレッシュした後にみんなで食事を楽しみ、そのまま宿泊できるという体験を、展開することにしました。
1Fリビングを改修しサウナを設置
自分たちで料理ができるキッチンも完備。サウナ後のサ飯を楽しむバリューアップ企画は開業5ヶ月で90%以上の稼働率へ
開業から5ヶ月で、私たちのバリューアップ企画は成果を示しました。稼働率は90%以上に達し、月間売上は120万円を記録。予約の約半数は国内のグループ利用者で、残りは海外旅行者でした。特に韓国、台湾、中国など東アジアからの利用者が多く、当初の狙い通りのユーザー層が利用していました。
この成功は、既存の施設を活用しつつ新しいコンセプトを導入し、必要最低限の設備投資を行ったことで、幅広い顧客ニーズを捉えた結果と言えます。
もしインバウンド向けの企画のみだったら、予約は半数に留まっていたかもしれません。しかし、サウナ付きの一棟貸し宿という独自のコンセプトは福岡でも新しい試みであり、国内市場のニーズもしっかりと取り込むことができたのが大きな要因です。
既存のハードを最大限活かし、コンセプトとサウナをプラスしたことで伸びた「合い宿すみよし」その後、福岡の合い宿すみよしの成功を受け、2023年秋に熊本にも同様のシリーズ「合い宿くまもと」もオープンしました。他にも一軒家タイプの宿泊施設の開業が複数エリアにて決定しており、今後のオープンが楽しみです。