ホテルの少ないエリアでの需要と供給のバランスを見極める必要性
「Hotel Vintage 目黒不動前」は、弊社クライアントのVintageシリーズのオーナー様より、この土地のホテルでの活用の可能性をご相談いただいたことからプロジェクトがスタートしました。
計画地は、東急目黒線の不動前駅から徒歩5分、隣の目黒駅は山手線はもちろん、南北線や三田線、目黒線なども乗り入れていることから、東京のあらゆる場所へのアクセスが抜群のロケーションとなります。
市場の需給バランスの観点では、このエリア(品川・目黒エリア)には宿泊施設が少なく、現に、星野リゾートグループも同エリアである大崎広小路に2024年に大型宿泊施設を開業しており、そのポテンシャルの高さを物語っています。また、品川駅、羽田空港からも近く、国内旅行客だけではなく、インバウンドのニーズが高いことも予測できます。人気の観光地渋谷や恵比寿も近く、目黒川の桜や地元の商店街など、周辺だけでも魅力あふれる場所です。
ユーザー目線の大型客室設計
今回のホテルは3階建て・全13室の計画をしており、それぞれの客室は35〜45㎡という広さで設計しています。一般的には15〜30㎡くらいですから、他のホテルと比べても広いのがおわかりいただけると思います。
従来のホテル開発においては、できるだけ多くの客室を確保しようと考えますが、実はこのアプローチでは海外旅行者のニーズを満たせないことが多いのです。弊社がこれまでに手がけてきたホテルにおいても、インバウンド観光客は単身利用より家族やグループの利用の方が圧倒的に多く、この広さに惹かれてお選びいただいております。
クイーンベッドが2つ設置できる大きさの部屋は、このようなグループ利用のニーズをしっかりと満たす企画であり、大手ホテルチェーンなどがあまり行わないアプローチだからこそ、希少価値の高いホテルとして、お客様に選ばれるホテルとなり、オーナー様の利益に直結することとなります。
ホテルの価値を高めるベーカリーカフェの企画・運営を立案
ホテルの価値を高めるのは客室の広さだけではありません。この地域の特性やポテンシャル、課題などを見極め、街にとって新たな価値を創り出すことも重要だと考えております。そこで、私たちは地域の新たな魅力となるベーカリーカフェをホテルの1階に併設することにしました。ベーカリーカフェの企画、運営は、グループ会社の8gardenと白金高輪、三田で人気のベーカリーを展開するラトリエコッコ様とタッグを組み進行中です。
宿泊客だけの施設ではなく、近所の方が散歩がてらコーヒーを飲みに、翌日の朝食のパンを買いにと、街の人々から愛されることで、地域のまちづくりに寄与するような新しい価値を創り出し、様々な方が交わるコミュニティを作り出すことができます。そのコミュニティこそが、ライフスタイルホテルの価値として、他にはない独自の魅力になると信じています。
また、ホテルとカフェを一緒に運営するもう一つのメリットは、SNSでの情報発信の頻度をあげられることです。宿泊施設の継続的なSNS発信は非常に難しいですが、飲食店を持つことで、カフェの商品の日々のラインナップや季節限定のメニューなど、多くの新しい情報を発信できることで、利用客の目にとまる機会を増やすことができます。オピニオンリーダーにも近隣の皆様にも親しまれる商品を日々アップすることで、コミュニティが生まれ、次第にこのホテルのブランド自体が上がる。そのブランドイメージこそが、根強い集客コンテンツとなります。
私たちは、ホテル開発という仕事を「単に宿泊機能を提供する」とはとらえていません。お客様に求められているものは何か、その土地がどのような場所なのか、文脈を読み解いたり、その地域における自分たちができる貢献は何か、を考え抜いた上で様々な企画やアウトプットを行います。
これらが、地域の価値向上につながり、結果的にホテルのブランド形成となり、オーナー様の利益にもつながっていきます。こうした街全体を俯瞰した視点からホテル開発を考えられることが7gardenの強みだと考えております。